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奈良県植物機能活用クラスター協議会
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奈良県植物機能活用クラスター協議会

地域結集型研究開発プログラム
第2回奈良県植物機能活用クラスター協議会シンポジウム

クラスター形成に向けた新たな地域特産品開発と事業化

   地域結集型研究開発プログラム 「古都奈良の新世紀植物機能活用技術の開発」に関する産研学の共同研究参画者の他、生産者・生産組織、飲食・観光、流通、金融、行政等の関係者や有識者からなる「奈良県植物機能活用技術クラスター協議会」において、産学の交流を促進するとともに、参画意識の醸成、事業コンセプトの共有化、地域ブランド戦略の検討や研究成果の利活用システムの構築・活用を進めるためのシンポジウムを開催いたしました。
  今年度は、経済産業省で推進する「中小企業地域資源活用プログラム」や農林水産省で推進する「食料産業クラスター推進事業」の取り組みなどを紹介するとともに、パネルディスカッション等を通じて、地域資源を活用した地域産業活性化のためのクラスター形成を行うことを目的としています。
  具体的には、当事業の説明、事例・取組み状況プレゼンテーションやパネルディスカッションによる意見交換を行いました。
   
 
パネルディスカッション概要
      (パネリスト)
   近畿経済産業局 産業部創業・経営支援課 課長 福崎 文伸氏
  (株) ファーマフーズ  研究開発部 谷 典子氏
  (社) 食品需給研究センター  調査研究部 主任研究員  長谷川 潤一氏
  奈良県植物機能活用クラスター協議会 企業化プロジェクト プロジェクトマネージャー 西村 元男氏
 (コーディネータ)
    (株) マーケティングダイナ ミックス研究所 代表取締役 上野 祐子氏
    
   
  上野祐子氏
   近年各地域で地域素材を活用した、またその機能性に着目した研究開発が盛んに行われています。中には食品分野や健康分野において、新たな商品開発や事業化が進み、すでにその地域の産業が活性化している事例も見られます。
  しかし、研究開発成果を商品化や事業化に結びつけていくことは、なかなか難しいと思われます。
  パネリストの皆さんと共に研究開発成果をいかに地域特産品開発や商品化や事業化につなげて行くか、その課題と戦略について議論を進めていきたいと思います。
   
 
西村元男氏
 
 奈良県地域結集型研究開発プログラムでは、農産物とその食品加工、生薬の研究を行っています。それらが飲食業・観光業に結びつくことが出来ればと考えています。
  研究テーマごとに「企業化プロジェクト」というチームを結成し、専門家のアドバイスを受けながら事業化に取り組んでいます。
  研究の中には、途中経過の見えにくいものもあり、事業化の説明が難しいものもあります。
  また、個別の製品について直接的な効果効能を表示できない食品に対して、いかに機能性に関する研究成果により付加価値が向上する情報を発信していくかが課題であると思っています。
  いずれにしても、事業化については、企業(個人)にいかに興味を持ってもらうか、橋渡しをするキーマン、コーディネートする人材が、非常に大事だと思います。
   
 
谷典子氏
 
 身近な食品から新しい素材を見つけていくことにこだわっています。また、一般消費者の方が“なるほど”と受け入れやすい創意工夫、例えばストーリーを作ることが重要だと思います。
  事業化していく上で問題点ととらえていること、試行錯誤していることは、ストーリーの中に機能性・素材の認知度をどう高めていくか、ということです。一時の流行を作るのではなく、地道な努力を行うことに賛同していただくメーカーさんと一緒に素材を育てていくという考え方で進めています。その結果として、大手食品メーカーに取り上げていただき、徐々にヒット商品となって売上をあげています。
  成長過程の企業であり、1社だけで主製品を作り上げて販売するのは現実的ではなく、いかに興味深く解りやすく確実な素材を開発して、大手メーカーと連携するかという所が、ヒット商品を作るポイントであると考えています。日頃からメーカーと話合いをすることで効率よく仕事をすすめることができると思います。
 
 
長谷川潤一氏
 
 事業の取組みと人材のお話をしますと、現在、食料産業クラスターでは、地域のもの作り、ブランド化などが推進されていますが、その際に、地域の素材をモチーフに、どういう形で、地域の取組みを進めてゆくかということが重要と考えます。また、そのためには、コーディネータやマネージャー、アドバイザーなど地域のコアとなる人材が必要であり、その人を中心とした連携枠組みのビジョンを形成することがポイントとなります。
  食料産業クラスターとの関わりは低いのですが、他地域の事例を紹介しますと、岩手県では、地域の食料産業の連携といった視点から、食産業特命課を設置しています。岩手県で採れる食材を使い、新たな連携のもと、種々の「もの作り」を推進しています。この取組みのコーディネータは県の方が担当し、地域連携を推進しています。一方、鹿児島や宮崎では、紫イモを使った加工品産業が集積してきています。技術や素材開発のきっかけは、九州沖縄農業研究センターが紫イモに着目し、素材・機能性の研究を行ったことによります。
 同センターでは、研究を目的とした学会発表を行う以外に、この地域の中小を中心とした食品メーカーが、すぐに製品化できるように、開発製品のプロトタイプなどを提示しています。このような試行錯誤を繰り返し、研究機関と地域企業が連携したことで、紫イモを含んださまざまな商品群が構築されました。これが、産業集積した紫イモのクラスター様の取組みとなっています。今では、食品の中で紫のものは体にいいのではないか?というイメージも広まり、紫イモの認知度も向上し新たな産業を創出するに至っているといえます。
  このように、岩手県の場合は県庁が、紫いもの場合は研究機関が、連携推進のためのコーディネータとなり、成功している事例といえます。
 
 
福崎文伸氏
 
 今年、地域資源を活用して新しい事業創出を支援する法律ができました。
  いま奈良県で地域資源とは何か、基本構想を作って整理しているところ。この基本構想が認定されると、そこで指定された地域資源を活用して事業者に新しい商品やサービスを作って頂く。それを支援しようとしています。
  地域資源とは何かというと、その地域の強みのあるもの、ここにしかないものをいかにして生み出していくかということです。
  和束茶の事例があるが、宇治茶ブランドで売られている。地元では和束茶ブランドを育てようと、昨年から大都市のホテルと組んでグルメフェアが行われている。一流のシェフやパテシエが和束茶を使って新しいメニュー・商品を開発してレストランで提供し、好評を得ている。
  奈良は歴史も文化もあり、地域資源がたくさんある。地元の人に地域資源の強み、良さに気づいてもらい、新しい事業を起こして欲しい。
  谷さんの会社のように、非常に有望なものがあって大企業と提携するという方法がある。しかし、大企業と組んですぐに地域資源の商品化ができるかというとそう簡単なことではない。もっと地道にこのクラスター協議会の中でいかに地域の事業者と連携して汗をかいていくかその体制を整えていくことが大事。地元でしっかりと新しい事業を展開するように向かっていただかないと地域ブランドは育っていかない。
 
 
まとめ
 
上野祐子氏
 
 機能性を活かした研究開発という点に、いくつかの示唆があったと思います。研究開発の人材やコーディネータの人材像というのも見えてきたのではないでしょうか。産業クラスター化をどう進めていくかという問題についても、もっと議論が必要ではあると思います。真摯でそれでいてざっくばらんに立場を越えて、お互いが研究シーズ・市場・研究成果を見ながら議論していくことを求められています。
  奈良県が行っている地域結集型研究開発プログラムは、祭りの神輿と考えます。これは意義があり、みんなが担げば前進すると思います。研究者・企業・生産者・行政の方々も一緒になってかけ声をあげながら、奈良県植物機能活用クラスターを推進していっていただきたい。
  この議論・成果が、みなさんのプログラムの発展に繋がること、活かされる事を祈りつつ、本日のパネルディスカッションを終了したいと思います。