~奈良県最古の醤油蔵元の復活・再興にむけて~
「本物の味、本物の体験」を味わう新スポットづくり
【相談者プロフィール】
マルト醤油
〒636-0243 奈良県磯城郡田原本町伊与戸170
TEL:0744‐32‐2064
【支援に至る経緯】
マルト醤油は元禄2年(1689年)に創業した奈良県最古の醤油蔵元です。
ただ残念ながら、大戦後の食糧難により原材料が調達できず、やむなく閉業を決めていました。
大阪の百貨店で勤務されていた18代目当主であるご相談者が「70年ぶりの蔵元の復活」を決意して斑鳩町の観光ビジネス講座に参加された際、講師を務めていた中小機構の関係者を通じて知ったのが「奈良よろず支援拠点」でした。
【課題の整理と分析】
蔵元復活を決意し、知り合ったホテルの料理長から「自分にしかできない究極の醤油を目指すべき」というアドバイスを受けてはいましたが、「事業化にあたってどのような手順で動いたらいいか」は手探り状態。
実際「事業計画の策定」と「自己資金の不足」が課題として浮かび上がっていました。また、ご自身の目指すべき事業の方向をどこに着地させていいのか?は、試行錯誤が続いている状態でした。
【支援内容】提案とアドバイス
ご相談者が考えていたことは「町おこしの視点からも市町村や金融機関との連携が必要である」ことで意識を共有。そこで「どういう思いで醤油蔵元を復活させたいのかを、多くの人に知ってもらうために奈良県主催のビジネスコンテストに応募してみては?」と提案しました。
また、ご相談者の考えを体現するヒントが得られるかもしれないということで一般社団法人ノオトの代表理事が主催する「古民家等を活かした店づくり、まちづくり」というセミナーもご紹介しました。
このセミナー受講で明確になったコンセプトから、コンテストの資料などを作成する中で、しっかりとした「事業計画書」を策定するサポートをさせていただきました。その事業計画書を基に、各金融機関への融資について助言し、自己資本不足の克服に努めました
【支援の成果】
復活する「マルト醤油」は、単に醸造所を再興させるというものではなく、「地元の人々が守り継いできた文化をまるごと感じてもらう場所に」をコンセプトに、大和の伝統食料理店と宿泊施設をも併設するという計画で進むこととなりました。
料理店では、できたての醤油や酒、味噌、大和牛などの奈良県産を中心にしたお店に。そして宿泊施設では、蔵職人が寝泊まりしていた部屋をリノベーションして当時の醸造蔵元の雰囲気や歴史を体感できる空間を創造することにしました。
応募したビジネスコンテストでは、総数254件の中から創業部門である「まほろば部門」にて見事部門賞を獲得。また地元金融機関のビジネスコンテストにも入賞、奈良県や農水省の補助金も得ることができ、金融機関や県・市町村との連携をより深めながら創業に向けて活動を続けられています。
【ご相談者からの声】
『一人で考えていると、いろんな迷いや不安が出てきます。担当のコーディネーターに一つひとつじっくり話を聞いていただいたお蔭で、自分のやりたいことが明確になりました。またたくさんの人とのご縁を結んでいただき、相談して良かったです。また、よろず支援拠点からの勧めがなければコンテストにも応募はしていませんでした。奈良県の皆さまに自分の思いを知ってもらう場を紹介していただき、とても感謝しています』