~解決のカギは社員さん達の日報でした!~
社員の自主性が生まれて、生産出来高は140%増。
【相談者プロフィール】
株式会社南都衛材製作所
〒634-0812 奈良県橿原市今井町3-4-26
TEL:0744‐22‐5555 / HP:https://www.nanto-eizai.co.jp
【支援に至る経緯】
昭和35年の設立以来、「女性の困りごと」と一緒に歩んできた同社は、「サニタリーショーツ」や「失禁ショーツ」をはじめ、介護関連やマタニティ関連に特化した下着を中心に様々な商品を通信販売や訪問販売の会社へ卸売りしています。
隠れた需要を掘り起こし、ロングセラー商品を作り続けてきた同社でしたが、生産効率や利益構造の低下により不採算状況を打破できていませんでした。
そんな現状を相談した金融機関の担当者から、奈良県よろず支援拠点を紹介してもらい、生産ラインの検証というところから支援が始まりました。
【課題の整理と分析】
工場ラインに強い担当コーディネーターが、検証やヒアリングを続けていくと、大きく2つの課題が見えてきました。
1つは、事業課題の明確化でした。外注費や人件費がかさんでいて、販売価格に対する製造原価が占める割合が高止まりしていることが、決算書や事業体質の分析から明らかになってきました。
もう1つは“ものづくり”においての、生産の指示体型が弱いという点。工場内の動線が複雑で日々の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が不充分であることが小さなロスを生み、それが結果として納期遅れにつながっていました。
【支援内容】提案とアドバイス
実は、この課題の解決策の鍵となったのは、縫製に携わる社員さん達の日報でした。担当コーディネーターが「日報が日々の原動力や達成根拠として機能していない」ことに着目したのです。
そこで、全ての日報を細かく分析。過去3ヵ月間の工程実績も、課題分析の材料として加味しながら、社員それぞれに対して毎日の生産目標値と工程スケジュールを細かく策定することにしました。
また、ロスを生む一因であった工場内のレイアウトも変更することにし、よどみない直線的な生産ラインを目指しました。限定数生産品の受注に対しては、専用のラインも確保するなど、生産管理の視点から多くの改善点を明確化して実施することにしました。
【支援の成果】
全行程の出来高と稼働状況を細部にわたるまで分析して標準工数や時間あたりの出来高を担当ごとに設定し、それぞれの社員の裁量に合わせたタイムテーブルにまで落とし込んだ結果、工程在庫が削減でき、ボトルネックが解消していきました。
取り組みを開始してから約2ヶ月。工数は減り、その一方で時間あたりの生産出来高は約140%増となりました。
この生産性の向上は、各社員の意識の向上にもつながりました。毎日、社員が「もう少し何かできるかもしれない」という気持ちを持つことで、モチベーションと自主性のアップにつながりました。結果としてさらなる生産能力のアップにつながる好循環が生まれ、今では当初の設定値を超えて出来る人が大半を占めるようになりました。
工場全体のモチベーションアップはチームワークの強化にもつながりました。そのために研修生への引継ぎや、急な事情による欠員も他の社員で割り振れるような良好な人間関係が、以前にもましてできあがりました。
現場にあたる個人を尊重する今回の改革によって、強制的なノルマ管理からは生まれない、柔軟な社員管理と生産管理を両立させることに成功したのです。
【ご相談者からの声】
『私たちの経営理念は創業当初から「愛」です。今回の社内改革をとおして、社員同士が自発的に互いを思いやって行動できるようになりました。名実ともに会社の理念が更に浸透されようにもなりました。今回の全生産量の明らかな差に納得しています。経営理念の「愛」を、目に見えるわかりやすい形として表現するために、今度は「ウェディングドレスのオリジナルブランドづくり」を次の目標にしています。』