今回は【2022年小規模事業者持続化補助金】について解説していきます。(本原稿は2022年4月4日時点の最新情報をもとに作成しています)
「はじめに」
小規模持続化補助金の令和3年度補正予算の成立に伴い、先日、第8回公募がスタートし、今までの「通常枠」に加えて補助上限額が200万円に拡大された新たな「特別枠」が設立されることとなりました。
そこでここでは第8回の公募要領をベースとして2022年小規模持続化補助金について解説をしていきます。
■「小規模持続化補助金」とは
そもそも「持続化補助金って何なのか?」なのですが、それは以下のように理解してもらえればいいと思います。
【小規模事業者補助金とは、自社の経営を見直して、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成したうえで行う、●販路開拓 ●生産性向上、という、こういった取組を支援する制度】
【小規模事業者とは】
この補助金の大前提となるのは、名前にあるように「小規模事業者」が申請できる補助金です。小規模事業者は人数によって決まります。常時雇用する従業員の数で決まります。製造事業者であれば20名以下、その他の事業は5名以下という区分で分かれています。
小規模事業者の判断については次の表で確認してください。
■「6つの申請枠」
今回の小規模持続化補助金は全部で6つの枠が用意されています。では一つ一つ見ていきましょう。
【通常枠】
「通常枠」はいままで通り。補助率2/3 上限枠が50万円です。一般的な販路開拓や、生産性向上に繋がる施策の実施の場合はこの枠で申請することになります。補助率が2/3ですので、総事業費75万円であれば、50万円が補助されます。では「総事業費が150万円だったら、2/3の100万円が補助されるんですよね?」と思われる方がいらっしゃいますが、「上限50万円」なので、50万円以上は補助されません。
その他の5つが新たに設けられた枠で、それぞれ上記「通常枠」よりも多い上限額をもっています。一覧にすると下記になります。
賃金引上げ枠 補助率2/3(赤字事業者は3/4) 上限額200万円
卒業枠 補助率2/3 上限額200万円
後継者支援枠 補助率2/3 上限額200万円
創業枠 補助率2/3 上限額200万円
インボイス枠 補助率2/3 上限額100万円
となっています。それぞれに申請条件が備わっています。簡単に見ていきましょう。
【賃金引上げ枠】
補助事業終了時点において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上であること。既に+30円以上を達成している場合は現在支給している事業内最低賃金より+30円以上とする必要があります。
【卒業枠】
補助事業終了時点において、雇用を増やし小規模事業者として定義する従業員の枠を超えて事業規模を拡大することが条件です。
【後継者支援枠】
申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者であること
「アトツギ甲子園」はこちら
【創業枠】
公募締切時から起算して過去3ヵ年の間に産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受けて開業した事業者であること。なお、直近2~3年以内(ケースによって異なります)に私たち「奈良県よろず支援拠点」の創業塾「夢をかなえる土曜塾」の卒業者(修了者)の方はこの【創業枠】に該当する可能性があります。
【インボイス枠】
2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者の登録が確認できた事業者であること。
■対象経費(どんな経費が補助の対象になるの?)
今回の持続化補助金はこのような経費が対象となっています。まさに事業者さんの「販路開拓」「製品開発」「生産性向上」こういった取り組みを幅広く網羅しているイメージでしょうか。
下表がその一覧となっています。ご自身の投資計画にこのような項目が入っていたら補助対象となります。是非ご確認ください
「留意点(いままでと変わった注意点)」
今回是非注意してもらいたい点をお伝えします。それは、「赤枠囲み」での※のところです。ウェブサイト関連費での注意事項が書かれています。ウェブサイト関連といったものは、表の中の③ですね。内容としては、ウェブサイトや、ECサイト等を構築・更新・改修するために要する経費、このウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4を上限とされています。
1/4が上限なので、もちろんウェブサイト関連費のみよる申請もできません。こちらみなさんご注意ください。というのも、この持続化補助金では、過去では結構「HPをつくりたい」「既存のHPを改修(リニューアル)したいです」「ECサイトを作りたいです」というような目的で申請する事業者様が多くいらっしゃいました。今回からは、このウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4といった上限が設定されています。ですので、③以外の費用もしっかりと投資したうえでウェブサイトの費用の交付申請額の1/4に収めてくださいという大きな制約が設定されています。
設備処分費も、補助金交付申請額の1/2といった条件が設けられています。こちらも併せて注意しましょう。
この補助金は受付締切日前10カ月以内に、同持続化補助金の一般型、低感染リスク型ビジネス枠で採択されていると申請が出来ませんので、ご注意ください。
また、この補助金は受付締切日前10カ月以内に、同持続化補助金の一般型、低感染リスク型ビジネス枠で採択されていると申請が出来ませんので、ご注意ください。
最後にその他気になるところをチェックしていきましょう。
申請方法について
まず申請方法です。申請方法は「電子申請」または「郵送による提出」になっています。電子申請に関してはgBIZIDプライムアカウントを使ったJグランツからの申請になってきます。GBIZIDプライムアカウントには登録に数週間かかるものですので、是非申請しようとされている方でまだGBIZIDプライムアカウントに登録をされていないかたは早めの登録申請をしていきましょう。
スケジュールについて
スケジュールは(予定)を含めて下記となっています。
第8回受付締切 2022年6月3日(金)
第9回受付締切 2022年9月中旬
第10回受付締切 2022年12月上旬
第11回受付締切 2023年2月下旬
ですので、皆さんの事業計画の中で今後どのタイミングでどの投資をするのか?といったことをあらかじめ把握した中で、「じゃぁ、この投資のタイミングであればこの回の持続化補助金を申請しよう」といった感じで予定を立ててください。
まとめ
小規模持続化補助金は、大きな機械の入替えや、大規模なシステム改修などではない、「少しこういう工夫で集客を増やしたい」とか「ちょっとここを替えて店をよくしたい」とか「店の看板をもっと目立たせたい」とか「新しい商品が出来たからチラシを作って宣伝したい」といった、小さな(でも、大変重要な)販売戦略の実行に非常に有効な補助金です。「まだこの補助金を使ったことがない」事業者様や、「以前に申請したけれども、今回は別の事をやりたい」といった事業者様には是非検討してもらいたい補助金だと言えます。
詳細が分からないとか、トライしたいけれどもどこから手をつけていいのか分からないといった方は是非「奈良県よろず支援拠点」にご相談ください。
※持続化補助金は、補助対象経費が広くて多くの小規模事業者の皆さんに活用できるチャンスがあります。申請しようとする事業者様は必ず最新の公募要領を確認していただいたうえで確実な申請をしてください。